僕らの正義
来る。
近付いてくる。
「――ッッ」
赤の双眸が闇に揺れた。
「構えを解け」
ダークウルフが静かに言った。
「……敵じゃない」
声が聞こえる。
「誰もお前を殺さない」
染み渡る。
はあっと息が洩れた。そこに居たのはダークトゥーンだったのだ。
「リーダーじゃないのか」
「諸々の事情で今日限りはリーダーという話になった」
ダークトゥーンはルーティをじっと見上げる。
「信用に欠けるだろうが堪えてくれ。無論手出しは厳禁だ」
そうか、と呟いた。
現在の自身の立場にほっと胸を撫で下ろす。
間違いない。
あれは、殺気だ。