僕らの正義



来る。

近付いてくる。

「――ッッ」


赤の双眸が闇に揺れた。


「構えを解け」

ダークウルフが静かに言った。

「……敵じゃない」

声が聞こえる。

「誰もお前を殺さない」


染み渡る。


はあっと息が洩れた。そこに居たのはダークトゥーンだったのだ。

「リーダーじゃないのか」
「諸々の事情で今日限りはリーダーという話になった」

ダークトゥーンはルーティをじっと見上げる。

「信用に欠けるだろうが堪えてくれ。無論手出しは厳禁だ」

そうか、と呟いた。

現在の自身の立場にほっと胸を撫で下ろす。


間違いない。

あれは、殺気だ。
 
 
7/34ページ
スキ