僕らの正義
こんなことになるなんて……ルーティは溜め息ひとつ、肩を落とした。
現在、ルーティはダークウルフの操縦するウルフェンの翼に乗せられて亜空間にある基地へ向かう途中。仮のリーダーが溜め息をこぼすのも構わずダークウルフは虚空に光線銃を撃って真ん丸とした穴を開けるとその先を抜けて亜空間へ。
「うわっ」
物凄い風が吹き抜けたが何とか堪えた。
顔を上げれば、亜空間。空、地面共に紫色の景色が広がる。振り向けば先程開けた穴は徐々に縮小し閉ざされて跡形も無く、後戻りは出来ないのだと悟る。後は厄除けにと無理矢理着せられたスピカの上着だけが頼りだ。
「あっあのさ」
無言にたまらなくなって口を開くと。
「なんだ」
よかった返事はしてくれた。
とはいえなんと会話を続けたものか。特に話題も無いし……
「ダークウルフっていつもスピカに付きっきりだよね。話す時は敬語だし」
「慕う者に礼儀は忘れない。それにリーダーは仕事上狙われやすい立場にある」
ほうほう。
「俺はあの人を死なせたくないだけだ」
「スピカのことが好きなんだねー」
ぐらり。
「変なことを言うな!」
「違ったの?」
「ち、」
さっきまでの有能執事っぷりは何処へやら。
「……がわない」
小さく続けるダークウルフにルーティはくすっと肩を竦めた。