僕らの正義



……数日後。


「やっと見つけた」

ルーティは森林都市メヌエルの外れにある、とある森に来ていた。

「……スピカ」

まさかこの場所に彼が現れるなんて。驚きはしたが、だからといって大袈裟に声を上げはしなかった。スピカはゆっくりと歩を進め、見渡す。

「此処の土地ね。買い取ったんだよ」

ばっさり切り開かれた其処は何もない殺風景な場所だった。その中でぽつりぽつり墓石がたてられている。その中で。線香をあげられたばかりの墓石があった。

「……大抵、引き取り手が居ないんだ」

ルーティはその墓石の前で後ろに手を回して口を開く。

「拒否されるんだよ。無縁ですから、って」

でもね。少しだけ笑って彼は振り返った。

「何処かで救いがあっても、いいと思わない?」


……馬鹿だなあ。


「お前それ長生きしないぜ?」

スピカは隣に並んで墓石の前に屈み込んだ。

「そうかなぁ」
「絶対そう」
「あはは」


優しい風が吹いている。


「……また来てもいいか?」

ルーティは流れる髪を掻き分けて擽ったそうに肩を竦め、笑った。

「うんっ!」


二つの意志が溶け合う。

酸いも甘いも。正義とやらは。



end.
 
 
34/34ページ
スキ