僕らの正義
「スピカ」
はっと顔を上げた。
男はもう既にその引き金を引こうとしている。
「大丈夫だよ」
――銃声が鳴った。
「え」
小さく声を洩らしたのは男の方。そしてルーティは。
「……お前」
拳銃を構えていた。
「ぁ」
胸に広がる赤を見つめて男は震えながら長銃を落とし、両膝を付いて横たわる。
一方でルーティは拳銃を構えていた手を下ろすと急ぎ駆け寄った。幸いにも、男の銃弾はこめかみを掠めただけだったのである。
「……へへ」
抱き起こすルーティをぼやけた視界に捉えて男は笑う。
「この、人殺しめ……」
銃弾は胸部を貫いている。恐らくは助からない。
「……うん」
ルーティは小さく頷いて応えた。
「だから、ごめんね」