僕らの正義
銃撃。けれどそれよりも早く地面を蹴り出し、駆け出していた二人に素人の銃弾が掠めるはずもなかった。とんと地面を跳ねて越えたり、走る銃弾を潜ったり。
男がぐうの音を洩らす間もなく距離は縮まっていく。
変化が起こったのは。
もうすぐそこと距離が縮まった頃。
「え」
くるりとルーティが振り向いて、
「っか」
警戒を張っていなかったスピカの腹部へ回し蹴りの一撃。その結果、スピカの体は地面を跳ねながら男から遠ざかり、代わりにルーティはとんと地面を蹴って空中で後転、地面を摩りつつ男の目の前に着地。
「何のつもりだ!」
声を上げるスピカに構わずルーティは男を庇うように立ちはだかる。
くそっ結局こうなるのかよ――!
「仲間割れか、いいねぇ」
男は笑ったがルーティは背中を向けたまま答えない。
「ルー!」
その後ろで男が長銃を構えるのが見えた。
まずいこのままでは。