僕らの正義
誰しも譲れぬ事情というものがある。
彼らの場合は異なる正義といったところか。……正義の逆は悪。そんな染み付いた考えが相手の正義をそうだと決めつけて譲らないのだ。
少し待てば落ち着くのだが、毎度毎度これでは宥める側も気が重い。
「風邪を召されますよ」
スピカの頭にふわっとタオルが被さった。スピカは見上げて。
「……おう」
どちらが悪いなんてことはないんだ。
ただ。どうすればいいか分からないだけで。
「じゃあさ」
カービィはひょいと茶菓子を摘まんで、
「一日だけリーダーを取り替えっこしてみたら?」
不意を突いたその提案に。
「……は」
ルーティとスピカは口を揃えた。
「いつまでもいがみ合ってたってしょうがないじゃん」
「確かに、視点が変われば見方も変わるかもしれませんし」
「なっなに勝手に決めてんだよ!」
スピカは思わず立ち上がる。
「こいつにうちの部下が使役できるはずないだろ!」
「どういう意味だよ、スピカ!」
――睨み合う。