僕らの正義
「ああ、その方面で間違いないはずだ!」
無線機から返ってきた声に対してではなく舌打ち。
右腕を打ち払い、左上に向かって薙ぐ。黒を帯びた電気がバチバチと音を立てつつ歪な形状を三日月型に変化させ、今しがた目の前に飛び出してきた魔物に直撃。
「くそっ」
魔物の数が多すぎる。どう考えたって身を隠すには不適切だ。
本当にターゲットはこの森の中に――!?
「っ、」
何か来る。
「右に旋回しろ!」
次の瞬間だった。
「くっ」
ウルフがウルフェンを大きく右へ旋回させたのとほぼ同時。虚空にぽっかりと穴が空いたかと思うとそこから青い雷撃が乱雑に二発、放たれたのだ。
直後追うように飛び出してきた機体とそれに跨った少年にスピカは驚いた。
「っお前」
少年はぴくっと肩を跳ねて振り返る。
「……スピカ?」