僕らの正義
言葉もなかった。
当然だ。この人の言葉は重みがある。
その重みを知っているから。
「……今日、取り逃したターゲットが近場にあった町の民家を襲ったらしい」
スピカは小さく目を開く。
「幸い、住民は軽い切り傷を負わされただけで大事には至らなかったそうだ」
そこまで言ってフォックスは静かに立ち上がる。
「今日はもう早く寝るといい。明日の朝には出撃命令が出ている」
扉へ向かう彼の姿をスピカは目で追って。
「……おやすみ」
何が正義で、何が愚かなのか。
様々な想いの入り混じる。
夜は静かにひっそりとその役目を終えて。
やがて世界は。
「本当にこの近辺で間違いないんだろうな!」
地上界。ウルフェンの翼に膝をついてスピカは無線機相手に声を上げた。