僕らの正義
ルーの奴、大丈夫かな。
「って別に心配してねーし!」
それまでベッドにうつ伏せになり枕の上に顎を乗せて携帯を弄っていたスピカは唐突に枕を叩いて腕を立て体を起こした。直後、ノックの音が鳴り響く。
「……スピカ」
この声は。そろそろと胡座をかいて座る。
「ちょっといいか?」
ぱたんと扉が閉まる。
「すまないな、夜遅くに」
スピカはちらっと部屋の時計を見た。……十一時か。
「別に」
「ならよかった」
そう言って笑うのは見慣れた偽物とは似つかぬ真面目な男。
フォックス・マクラウドである。
「あのオオカミは?」
「ウルフなら食堂でファルコと暇を潰してるよ」
最悪の相性だな。
「ふぅん」
素っ気なく返して同じベッドの縁に腰を下ろした狐を見遣る。
「で。俺に何の用だよ」