僕らの正義
「お静かに」
黒装束に赤の双眸。
出迎えた女性が声を上げそうになるのをダークファルコは唇に人差し指を置いた。
「用事を済ませるだけですから」
暗がりの中。幾つもの燭台が立ち並び、赤の絨毯を不気味に照らす。
人々が腰を下ろして神に祈りを捧げたベンチには、所々で女性が瞼を下ろし両手を組んで何かを囁いていた。色彩豊かなステンドガラスが美しい。
そう。此処は神の慈しむ聖なる所――教会。
「来ますよ」
一列となって静かに足を進ませていたその時、ぽつりとダークファルコは言った。
刹那。シスターの女性たちが一斉に立ち上がり拳銃を構えたのだ。はっと目を開きルーティは構えをとったがそれより早く。滑らせるように鞘から剣を抜いて左右にそれぞれ駆け出した影が二つ。
「おっそいなぁ……?」
青と赤の斬撃で銃口を切り落として見せたのはダークマルスとダークロイ。
「……危ないから……仕舞っててください」
二人が剣を仕舞った頃。燭台に灯されていた火はふっと掻き消されて。
「何をしてるんだ」
ルーティは暫し呆気にとられていた。
速かったからじゃない。
だって。今のは。