僕らの正義
冷たい。
頬を撫でる風が不安を掻き立てる。
こんなに静かなんだ。
あのダークフォックスでさえ無言だった。そりゃあ喧しく騒ぎ立てながら向かったのでは肝心のターゲットにも逃げられてしまうだろうが、そうじゃない。
黒の衣装に身を包んで歩く。
まるで、それは。
「……着きましたね」
はっと顔を上げると其処に今回のターゲットの潜む目的地があった。
とある国の暗い森の奥深く。寂しく佇む神聖な所。
「っ、正面から?」
ダークウルフが進み出るのを目にルーティは思わず声に出した。
「おいおい。俺たちは泥棒しに来たんじゃないんだぜ?」
そう言っている間にダークウルフは両開きの大きな扉を静かに叩く。
「ふふっ」
ダークファルコは笑った。
「ですがこれから彼らのお楽しみを奪うのですから」
間もなく、扉が軋んで。
「泥棒と同じかもしれませんね」
……開かれる。