僕らの正義
ぱし、とその腕を掴まれた。
「いい加減にしろ」
ばちばちと行き場のない電気が弾ける。
「頭を冷やせ」
……くそ。
「ダメえええっ!」
びくっ。
「喧嘩は駄目だって言ったでしょ!」
一体全体、彼女はどうして感知してくるのだ。
「……分かったよ」
妹に出られては挑発に乗られたところで手も出せない。小さく息を吐いて、刺さる視線など垣間見ず腕を掴んでいたその手を振りほどき後にする。
ぱたん、と扉が閉まった。
「あーびっくりした」
ぴんと張り詰めた糸が緩むかの如く居合わせた面々は息を吐き出した。
「お前が変なこと言うからだろー」
「だって本気にするとは思わないじゃん」
「あんなちっこいのに怖えーよなあ」
へらへらと笑う若者たちの声が耳障りだったのか否か。
遅れて、ウルフも食堂を後にした。