僕らの正義
けれど食堂は思っていた以上にしんと静まり返って。
「それ、本気?」
次に返ってきた言葉に今度自分が目を丸くする羽目になろうとは。
「……嘘ついてどうすんだよ」
なんだこの反応は。
「その作戦は僕にはちょっとハードル高いかな」
マルスは苦笑いを浮かべた。
「別に殺さなくていいんじゃないか? 組織の壊滅だろ?」
「だからって全員とっ捕まえて警察に突き出すのか?」
「こいつら結構有名な組織だよ。無期懲役でも妥当だと思うなぁ」
何だよ、それ。
「被害者が訴えれば死刑を執り行うことも出来ます」
「無闇矢鱈に人を斬るのは、例え誰の為であっても正義にはならんぞ」
分かってない。
「だめだめ。この人に言っても無駄だって」
カービィは呆れ気味に告げる。
「そういうのに慣れた裏側の世界の人なんだから」
ぶつん。
「うわっ」
黒焦げた床がしゅうしゅうと音を立てている。
「……そうやって」
嘲るように小さく笑って。
「考えの合致しない人間を外側に跳ね除けるよな」