僕らの正義
「ん」
結局顰めっ面で突き出す羽目になってしまった。
「それを僕に?」
「他に誰がいるんだよ」
受け取った依頼届を返してマルスはその内容に目を通した。
「わぁーお、難易度高いねえ」
「これは少しばかり骨が折れるかもしれんぞ」
左右から覗き込んだ仮面と問題児それぞれから物騒な意見が交う。
「大袈裟なこと言うなよ。一人だって余裕だろ」
「新しいリーダーってば無茶苦茶ー」
あはは、と軽い笑い声が上がる。
「まあ考えようによっては可能じゃないですか?」
リンクはくすっとこぼして人差し指を立てる。
「まずは変装して――」
「違う違う。前提から間違ってる」
「じゃあどうすんの? まさか正面突破?」
スピカは小さく溜め息。
「敵の大将を引きずり出して子分たちの目の前で見せしめに殺すんだよ。無慈悲に残酷に容赦なく。それで大半は戦意を喪失する。その隙に今度は拠点を焼き払え。反撃してきた奴だけ返り討ちにすればいい」
罪を重ねれば重ねるほど、人はその罪の程度を忘れる。
だから、殺す。
俺にとってはそれが当然であり必然であり。
その程度の話だった。