僕らの正義
「邪魔をするな、ルー!」
雷が鳴る。
「嫌だッ!」
雨が打ち付ける。
――地上界。
「くっ」
木の枝から枝へ飛び移りながら襲う雷撃を躱す。
「ッ、ち」
だが次の瞬間移る先を当てられてスピカはバランスを崩した。
敢えなく土砂に落下、膝を付いて着地。すかさず打たれるが蹴り出して回避、低く跳んでその先の木の幹を蹴り出すと後方へ翻し、真向かいから走ってきたルーティ目掛けて黒の電光を纏った蹴りを繰り出す。
「わっ」
そうは洩らすがしっかり後方へ飛び退き躱して直後の雷撃は迎え撃ち。
「いい加減にしろ!」
「スピカのやり方は認められない!」
「お前は甘過ぎるんだよ!」
異なる強い意志が火花を散らしてぶつかり合う。
「リーダー」
無線から聞こえた声にスピカはくっと眉を寄せた。
「混戦中失礼します」
「なんだよ!」
「……逃げられました」
電撃が途切れたのはほぼ同時。
「えっなんで」
「てめえがちんたらしてるからだろぉーが」
ルーティの無線にも苛立った声が返る。
「……ふ」
雨降り頻る空に声が轟いた。
「ふざけんなあああッ!」
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