兄の心配
まさか、スピカを巻き込むことになるとは。
……今回の件にピチカが関わった時点で予想はしていたが。つーかこいつといると俺までシスコン扱いされそうで怖い。兄として純粋に心配してるだけなのに。
「恋人なんて、俺は絶対に認めないからな……」
「いいじゃねえか。弟が出来るようなものだろ」
ローナとピチカの後を付けながらぶつぶつと呟くスピカに、ネロは溜め息。
「よくねーよ! 今まで可愛がっていた妹を取られるんだぞ!」
この分だと当分ピチカの恋は叶いそうもないな……
「……何だよ。てめえ俺より背ぇ高い癖に文句あんのか」
「身長関係ないだろ」
と、そうこうしている間にローナとピチカは目的の人物の前を見つけて。
確か最初のターゲットは背の高い人だったな。尾行がばれてしまわないよう、適当な物陰に揃って隠れ、行く末を見守る。……さて。問題のターゲットとやらは――
「ほぅら、部隊の中で一番の長身だぞう!」
魔王じゃねえか。
いや確かにこいつ、身長二メートル超してるけどな。
「お、おっきいね……」
「全てにおいて大きい男は我らが女子をきっと満足させるぞ!」
……意味深だ。
「マムシのエキスって確か……」
「そっちじゃねーよ」
本気で悩み始めるスピカに突っ込み。魔王、基ガノンドロフは仁王立ちの姿勢でローナとピチカの二人をじっと見下ろしていた。って凄い身長差だな。
「何の用だ」
「ずばり! 恋人はいらっしゃいますか!」
何かとんでもないこと聞いてるうう!?