兄の心配



さすが、子供というのは何を思いつくか分かったもんじゃないな。

「いざ!」

朝食を終えると食堂を飛び出し、即実行。拳を振り上げて意気込むローナの隣には何故かピチカの姿が。表情から察するに巻き込まれてしまったらしい。

「どうしたのさ、ピチカ」
「……僕、別に恋愛面で焦ってないもん」

まだ十四だもんな。

「まあまあ、細かい事はいいじゃないか!」
「……そうだねっ!」

ローナがぽんと肩を叩くと、ピチカはあっさりと諦めた。

「僕、恋人にするなら背の高い人がいいなあ!」
「うむ! 肩車は女子の憧れなのだ!」

女子分かんねえ。

「そうと決まれば!」
「わわっ! ちょっと、ローナぁ!?」

心当たりがあるのか、ピチカの手を引いて走りだすローナ。

その様子を、それまで近くの物陰からじっと見守っていたネロは短く息を吐き出した。……ストーカーとは人聞きの悪い。妹の心配をしない兄など何処にいるのか。

「おい」

それでも限度は必要だと思うが。

「てめえ人様の妹巻き込んでんじゃねーぞコラ」

なんで俺は自分より小さい奴に喧嘩吹っかけられ、

「小さくねえよ……?」
「もう少し年相応の顔をしろ。般若じゃねーか」
「誰のせいだ!」
 
 
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