兄の心配



まさか飽きてしまったのだろうか。

色々と不安はあったが、それはそれでつまらないような。……まあ彼女達もまだまだ若いんだし、それほど急かす必要もなかったということだろう。

「だって……ねえ?」
「うん」

顔を見合わせる二人に、ネロとスピカは疑問符を浮かべた。

「ネロみたいにかっこいい人、いなかったんだもん」


……えっ?


「僕も僕も! にぃにみたいに可愛い人、いなかったんだよねー」
「いやいっぱいいるだろ!」

スピカがすかさず突っ込んだが、ピチカはそうかなぁ? と首を傾げて。

「そ……そんなの、理由になんかなるかっ」
「とか何とか言っちゃって……本当はネロ、嬉しかったりするんじゃないのー?」
「勝手に言ってろ。ったく」


どうやら、兄の心配は不要だったようで。


「婚期遅れても知らねーからな」
「ふふん、その時はネロのお嫁さんになってやんよ!」
「クーリングオフしてやる」

暫くはこのままでもいいかな。

あの時とは違う。――楽しそうな顔を見れれば、それで。


「僕らのことはいいから、自分の心配をしたらどうかね」
「子供が生意気言うな」
「俺にはピチカがいるからな!」
「お前なぁ……」

ローナとピチカは身を寄せ合ってこそこそ。

「僕らの心配はする癖にねぇ……」
「逆に心配だよ……」



end.
 
 
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