兄の心配
「じゃあ行ってくるわね」
「ん、あまり遅くなるんじゃねえぞ」
「ご心配なく。すぐに帰っちゃうわよ」
ここはポケトレ組の部屋。
今しがた洒落た服を着て出ていったのは、次女のシフォンである。ネロは彼女が出ていったのを確認すると、再び、暇潰しに本を読み始めて。
「んう……」
そして入れ替わるように覚醒したのが末っ子のローナである。
「やっと起きたか。もう十時だぞ」
「おー……もっかい寝よう」
「寝るな。起きたんならさっさと着替えて飯食え」
この妹だけは。全く、だらしないというか。
「ほいほーい」
のっそりと体を起こして大きな欠伸、ベッドから下りては兄の目の前だというのにパジャマを脱ぎ捨てて下着姿のままうろうろするその姿はいい加減、見慣れた。
「お前、女なんだから恥を知れ」
それでも兄として一応、忠告。
「あー見たね。お兄ちゃんったらやらしいっ」
が、当然のことながら通じない。
結局は今日も、勝手にやってろといった具合に本に視線を戻す。――ああ、どうしてこいつだけは姉のシフォンと違って女としての魅力が皆無なのか。
……あいつも色々と問題だが。
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