おいでませ、ダーク診療所!
「くくっ、覚悟を決めたようだな」
机に腰掛けて足を組んでいたダークリンクは含み笑いを浮かべた。
「僕、風船苦手なんだけど……」
そう言うルイージは破裂を予感して腰が引けている。
「いいから見てろ」
マリオはチューブを手に、すぅっとたっぷり息を吸い込んだ。
ああ、いいねぇ。
双子が提案した時にゃ正直呆れたが、こいつは都合の良い立ち位置だ。診断と称して奴らに意地の悪い悪戯を仕掛けることができる。ちっとばかし疑いながらも馬鹿正直な連中だ、思った通りの反応をくれるのがたまらねえ。
こいつもどうせ同じだ。腹括って多量の息を吸い込み一気に注ぎ込んだ奴もいたが結局自滅。兄弟揃ってどうしようもない屈辱を味わうがいい!
「こんなもんだろ」
マリオはひと頻り空気を注ぎ込んだところでチューブを辿って風船の口を摘まむとチューブを外し、その口を伸ばして括った。
肺活量の検査を中断? 怯えた様子もないしこいつ、何を考えて……
「絶対に扉から離れるなよ」
尻目に伝えたその相手はルイージ。
「まだ分からないみたいだな」
意図が掴めないまま接近するマリオを見つめる。
「お前たちは人の素質も何も綺麗にそっくりそのままコピーしている」
ダークリンクは眉を寄せた。
「例えば、トゥーンもリンクもハイリア人特有の耳のお陰で」
マリオは懐からあるモノを取り出すと笑みを浮かべて。
「大きな音にだけは弱かったみたいだが……?」