おいでませ、ダーク診療所!



健康診断はただ単に診るだけに留まらないらしい。

先程余計に追加された触診もそうだが、お馴染み採血や身長、体重測定、聴力や視力の検査、その他レントゲンや肺活量まで測ってくれるのだそうだ。

此方の不調ほど都合のいいものはないだろうに。マスターが初めに言った、面白そうなことに目が無いというのはこういうところに現れてるんだろうな。それだって自分たちが不利になるだけかもしれないのに、その辺は強者の構えというか。


「次」

出てくる人がほぼ全員顔を赤らめているのが不安だ……

「覚えとれよあのアホ」

吐き捨てるドンキーとその横で俯くディディーの背中を見送ったところで改めて扉を見つめる。例えるのならRPGにおけるボス部屋前の緊張感といったところ。

「お、」

ルーティは息を呑んで踏み出した。

「お願いします……」


一階の殆どの部屋を貸し切って進行しつつある今回の健康診断。

ここも本来ならモニタールームだったはずだが、甘い香りと共に迎えられた其処は何をどうすればそうも早変わりするのか医務室らしい構造となっていた。

「いらっしゃい」

出迎えた相手が足を組んで構えてなければそれそのものだったのに。

「しんだんはひとりずつだよ」

ビクッと肩を跳ねた。……居たんだ。
 
 
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