おいでませ、ダーク診療所!



「っ、」

青年はぴくっと小さく震えて目を細めた。

「大丈夫ですからねぇ……」

挿した先端がゆっくりと体を押し進める。

ああ、入ってくる。

「ほぉらもう少しですよ」

一点から搾り取られる感覚に力が抜けていくようだった。

はあっと熱っぽい息を吐き出す。


「……いい顔」


マスターは右手を軽く振って捲られていた袖を落とした。

「次はお前だぞ、クレイジー」

呼ばれた本人は大袈裟に肩を跳ねる。

結局捕まってしまった二人は逃げ出さないよう多数の見張りを部屋の外に置かれた上で血液検査を受ける羽目になっていた。

「や、やだ……」

ちなみに部屋の中の様子は窺えずとも声だけは丸聞こえである。

「そんなの絶対に入れたくない……」
「クレイジー。痛いのは最初だけだから、な?」

なんだこの如何わしいやり取りは。

「や……ぁ、あ……」


沈黙。


「ぎゃあぁあああ!? 痛い痛い痛いアァアーッ!」 

そして屋敷中に響き渡る叫び声。

「うわ、びっくりした」
「凄い声だね……」

意地の悪い双子への仕返しが済んだところで。


季節の変わり目、病気に注意。

皆さんがいつまでも健康でありますように。


「クレイジーはほんとうにちゅうしゃがきらいだね」
「ここは病室なんだがな……」

兄として恥ずかしい。



end.
 
 
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