おいでませ、ダーク診療所!
その三。
逃げる羽目になる。
「どうしてこうなるんだよ!」
双子の神様、現在進行形で全力疾走中。
「お前が変に反応するからだ」
「良心だってば!」
後ろからはエントランスホールに居たX部隊メンバーが追いかけてきている。
「大体お前、アレは克服したんじゃなかったのか」
「その言葉そっくりそのまま返すよ兄さん」
ちくりと刺した細い針が血液を採取することたかが数秒、されど数秒。
親指を閉じ込めて握っても痛い、傍らに在る人の手を握っても痛い。大丈夫大丈夫なんて宥める声も笑み浮かべる顔もその時ばかりは疎ましい。
下手な人間は更に痛いし再検査必須だし!
注射なんか大嫌いだ!
「待てええぇえ!」
「ああもうしつこいなぁ! なにあいつらマジになってんだよ!」
「そりゃ今までヘイトを溜めすぎたからだろ……」
必死に駆ける廊下の先、良くも悪くも角を曲がってきた男が二人。
「……ん?」