おいでませ、ダーク診療所!



本来は図書室である此処も現在は視力と聴力を検査する為の部屋と化している。混同しないように本棚を使って分けられているのだ。

「ウルフって目はいいの?」

順番待ちしながらルーティは訊ねた。

「右目(こいつ)には最期まで付き合ってもらうつもりでいるからな」

ちらりと横目で見遣って、

「少なくとも暗がりの中でいつまでも携帯を弄るような真似はしてねえな」
「あ、あはは」
「視力には自信があるぞ!」 

目を爛々とさせて話に絡んできたのはリオンである。

「その気になれば今日のルーティ殿のパンツの色くらい……」
「無闇矢鱈に人の心を覗くな」

例によって例の如く。興奮に息色付かせるリオンをユウが回収。

「あっちなみに貴殿ほどの顔立ちなら女性ものでも大歓迎」
「すまないが頭を診てやってくれ」
「ここは視力を診るところよ」

呆れたようにダークピチューが返す。

……それにしても視力検査とは。小学の頃なんかは人が言い当てたものを頭の中で覚えておいていざ自分の番という時にあれは右、左と例え見えていなくても答えることで両目Aなんてさくっと取れてしまったものだが。

彼らはどうなのだろう。

「そこに座って」

“災いの目”を持つユウとリオンのペア。

果たしてどちらの目の方が優れているのか……
 
 
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