おいでませ、ダーク診療所!
「……下がった」
少年はずるる、と鼻水を啜って体温計を見つめた。
「おにぃ熱下がったの?」
ここはエックス邸のリビング。
「う、うん」
入って早々ルーティは不思議な光景に出会した。
「何やってるの?」
見れば、ピチカの傍で何やらローナが頑張っているのである。巻き尺を伸ばして突起をつま先で上手く踏み付けつつ、慎重に持ち上げていったが……
「あっ」
不意に突起が外れてしまい声を洩らして、
「ふぎゃん!」
巻き尺は高速で容器へと戻っていきそれがちょうど、顎に命中。
「身長を測ろうと思ったんだけど……」
「だ、大丈夫?」
これは痛い。
「貧乏人は身長計も買えないらしいな」
ルーティはビクッと肩を跳ねさせる。
「季節の変わり目、病気に注意」
「風邪はひき始めが肝心だよルーティ」
この声は。
「何だったら僕たちが」
「お前たちの身体を診てやろうか」
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