キミの誕生日
「次は素振りを――」
とある昼下がりのことだった。
「……ん?」
エックス邸の庭で剣士達の稽古を付けていたメタナイトは、不意に自分の羽織っているマントを後ろからくいくいと引かれ、怪訝そうに振り返った。
「お、ゲムヲじゃん」
ロイが言った通り、そこにいたのはゲムヲだった。
メタナイトに用があるのか、じっと見つめている。基本的に声を発さない彼を相手に問い質すことはできないので、メタナイトは一度剣を鞘に仕舞うと。
「今日はここまでに……っとと」
言いかけたところでゲムヲに手を引かれ、メタナイトは屋敷の中へ。
「へえ、今度はメタナイトか」
マルスの何気ないひと言に、アイクは疑問符。
「……知らないのかい?」
「ちなみに、こないだは俺でしたよ」
「結構最近の方だよな。ああやって呼び出して……どうすんだっけ」
初耳だった。そもそも本当に何を考えているのか分からないので、誰も大して気にしなかったのだろう。ロイが言うと、リンクは腕を組んで。
「メッセージカードの入った花と、ケーキをくれるんです」
「何と書いてあるんだ?」
興味を示したアイクが口を開く。
さて、どうしたものやら。あれはそんなに時間のかかることではない。メタナイトの方もそろそろ終わっただろうとリンクは屋敷の扉を一瞥し、提案した。
「実際に見てみましょうか。そのカード」
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