世界の終わり



「……余計な詮索をするな」

マスターは小さく息を吐き出して言った。

「でもここに来たのは頼りたかったからでしょ」

また口を閉ざすマスターにルーティは体の向きを変えて座り直し、続ける。

「僕に関係あるんだよね?」

こういう意地っ張りなところは兄弟似ているような。だがその時マスターも此方を真っ直ぐ見つめて逸らさない姿に同じようなことを思っていたようだ。

「……お前じゃない」

遂に折れてマスターは大きな溜め息を吐き出した。

「じゃあ」

マスターは一度此方に視線を遣ったがすぐにふいと逸らして。

すすす、と体を傾けてソファーの肘置きに頬杖を付くとつまらなそうに答えた。

「お前の父親だよ」


――兄さんはいいよね。


何でも造れるし、何でも出来る。知識はあるし基本的に人の手はいらない。

常に新しいものに触れていてそれがまた失敗知らず。弟にこうして羨まれるのも、そう珍しいことではなかったしあまり気にしていなかった。

ただ、その時決まって返す台詞といえば。


いいじゃないか。お前は何でもその手ひとつで壊す。

なかなか出来ることじゃないだろう。
 
 
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