世界の終わり
「……確かに」
依頼届を受け取りに現れたマルスは紙を手に目を通しながら、
「この内容なら僕の弱点を克服するにはちょうどいいかもしれない」
「同じく。無理のない難易度であって、だからと決して簡単すぎるものでもない」
アイクは続けて、それから二人は同じタイミングでマスターを睨んだ。
「問題があるとすれば的確な判断で依頼届を受け渡したその相手か?」
ゆったりと足を組んで笑み。
特にマルスはばつが悪そうに顔を背けてやや荒々しく踏み出した。リビングを出ていく彼を、此方に一瞥くれてからアイクが追いかける。
「……あはは」
また物凄い嫌われよう。タブーならまだ幾分かマシな反応なのに。
「マスターはその、詳しいんだね」
「知っての通り俺はこの世界の創造神だ。新しく造られたものや俺が眠っていた間に完成した見知らぬもの以外は基本的に全て知り尽くしている」
さらりと返されたのではそれをまた返す言葉も絶賛迷子、または失踪。
本当にどうして此処に来たんだか。ここのメンバーに嫌われているということは今までの反応から火を見るよりも明らかであるし何より彼の行動は此処に来てからの思いつきであって、本当の本来の目的とは異なっているかのように思える。
かと言って自分から話を持ち出すつもりもないようだし。
「……ねぇ」
本人がそうお望みであれば此方から揺すってみるとしますか。
「クレイジーはどうしたの?」