世界の終わり
「……食べないの?」
いやに視線を送ってくるわけでもないが、ふと。
「空腹を満たすだけなら人の手はいらない」
さすが創造神。お腹が空けばキャビアとかフォアグラとか目の前にポンッ、と出せるのかな。ものが高くてもタダで出せるのはちょっと羨ましい。
朝食を食べ進めながら説明することにする。
僕はX部隊のリーダー、ルーティ。そして向かい合って座っている相手が何を隠そう敵対組織、亜空軍率いる首謀者――この世界の創造神、マスターハンド。
これだけ聞くと敵なのか味方なのかさっぱりだけど、過去に二回も自身の計画の為にあちらこちらを滅茶苦茶にしてくれたし。それが悪意って程でもないけど多くが認めない理想を合意なく無理矢理叶えようとしたのだから正義の側ではない。
今じゃ捉え方も落ち着いてるけど。
僕の父さん。過去、DX部隊を率いていたあの人は彼らの計画を止める為に……
「どうかしたのか」
気付くと、マスターは頬杖を付いてじっと此方を見つめていた。
「え、ええっと」
これが特にどうもしないんだよなあ……
「きっ」
適当に誤魔化してしまおう。
「今日はクレイジー、居ないんだね」