世界の終わり
――あれから数日が経った。
ぼろぼろだった基地はご覧の通り。創造神である俺の手にかかればこんなものだ。
ただ今回の件については近くに拠点を構えているダークシャドウの基地にまで被害が及んでしまった。リーダーであるスピカを含め他数名、主に壊れてしまった携帯について賠償を請求されたが知ったことか。……ま、とりあえず最新のものと全く同じ機能を持つ携帯を造って与えてやったらおとなしくなったが。
犯罪? 俺たちにそれを問うのか?
「何だこれは」
研究室で暇潰しという名の実験をしていたところ。
「握力計だけど」
またそんなもの何処から持ってきたのやら。
「どうしろと」
「そんなの決まってんじゃん、握力を計るんだよ」
はい握って、と手渡されたのでは応える他ないだろう。……
「……十四キロ」
女子か。
「えっ本気?」
と訊ねたがこれがまた答えるような余裕もないのか分かりやすく息を上げている。
「……ふぅん」
ちょっと嬉しいかも。
「兄を疲労させておいて何をニヤニヤしているんだ」
「べっつにぃ」
僕らは不完全だから。
互いを補って、向き合って生きていこうね。
この世界が本当に終わるその時まで。
ちなみに。
「あっ」
クレイジーが試したところ、案の定壊れました。
「この世界が終わるとしたら原因はお前だろうな」
「その時は止めてよね、兄さん」
「暴走しない努力くらいはしてくれ」
end.
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