世界の終わり



「……それで、怒ったの?」

きょとんと首を傾げて見つめる。

「仕方ないだろう」

どうやら意地を張るのを諦めたらしい。

けれど。決して視線は合わせようとせずに。

「……そっか」


少しだけ嬉しい。

無駄じゃなかったんだ。父さんが重ねてきた日々は。


それでも、彼らの犯した罪は許されるものではないけれど。

……それでも。


「ありがとう」

自然と柔らかな笑みがこぼれた――

「でもどうするの?」

頬に浮かんだ赤も共に熱を引いたのかマスターはようやく此方に顔を向けた。

「……え」

どうして無言になるのだ。

「まさかとは思うけど」

マスターはすっと目を逸らす。

「仲直りの仕方が分からないとかじゃないよね?」
 
 
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