世界の終わり




『この世界が終わるかもしれない』


例えば、天変地異とか。

地が割れて海が枯れてこの星の温度は急上昇、或いは急低下。急激な環境の変化に生き物は耐えられず、じわじわと。

……はたまた、ぱたりと。


そうでなくとも世界の終わりなんてのは、何の変哲もない日常を送っている最中に何の前触れもなく唐突に、ふと。蝋燭の火を吹き消すように。世界中のその大多数の人たちが気付かぬ間に来るものかもしれない。


『そんなことあるわけないでしょ』

なんて数秒考えたところで。

結局、返信はこれに落ち着いた。

『マジでやばいって』
『変な夢でも見たんじゃない?笑』

暗闇の中。夜遅くに届いた友人からのメッセージ。

ふと画面上に視線を遣ると午前三時を過ぎてしまっていた。あまり夜更かしすると朝が辛いからこの辺にしないと。

『ゴメン。もう寝るね』

あれから少し待ってみたものの返信が来ないので、そう打って携帯を枕の下へ。


考えたことがなければ想像したこともない。

ただひとつだけ。


明日も、変わらず世界が平和でありますように。
 
 
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