神様のねがいごと



「で、どうするんだ?」
「っ兄さん! やめときなって!」

クレイジーが驚くのも構わず、マスターは首を傾げる。タブーはうーんと唸って少し考えていたが、マスターを指差して、

「ぱぱ」

次にクレイジーを指差して、

「まま」

と、そう呼んだのだ。

「なっ何だよ、それ!」

当然、クレイジーは顔を真っ赤にして声を荒げる。怒っているのか、それとも。

「くっ……あはは! いいじゃないか!」

マスターは面白そうに笑って。

「だから言ったのに!」
「タブー。もっと呼んでやれ」
「まま?」
「う、五月蝿い! もう……」

ついにクレイジーはそっぽを向いてしまったが、あれでいて照れてるのである。

マスターはくすくすと笑って。


「……えへへ」


あたたかくて、やさしい。

「無邪気に笑っちゃってさ……」
「いいじゃないか」

マスターはタブーの頭を優しく撫でる。

「……家族なんだから」


それはきっと、これからも。


――これは神様の、とても些細な願い事。



end.
 
 
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