今日からワタシは
柔らかい表情で。優しい声で。
こういう時、決まって自分は心臓の鼓動が五月蝿くなる。それくらい、自分がこいつに惹かれている証拠なのだろうか。
くそ、自分が情けない。
「……ユウ」
まただ。そんな似合わない声で――
「約束してほしい」
手を掴まれ、心臓が大袈裟に跳ねた。
思うように声が出ない。目を逸らすのが精一杯で、手が震えているのは恐らくばれている。ユウは遂に、ぎゅっと瞼を瞑った。
ああもう、好きにしろ。
――結婚でも何でも誓ってやる!
「中出しを許すのは私だけにしてくれ」
そんな真剣な声で言われたら断れな、え?
「……は?」
「それなら仮にユウが妊娠可能な体質だったとしても、非常に高い確率で私とユウの子供であるわけだ。名案だろう!」
そして、この満面の笑み。
「本音を言うと、私以外の人間と契りを交わしてほしくないが……いや、他の人間に襲われながら、夢中で私の名前を呼ぶユウも捨てがたいな。くっ、ジレンマ……!」
リオンはずいと詰め寄って。
「ユウはどっちがい」
「いっぺん死んでこい!」
ユウの回し蹴りがクリーンヒットしたのは言うまでもない話。――ちなみに。
「意外と早くばれちゃったわねぇ」
「女体化できる薬を作んのはどやろか」
「あ、いいですね」
「そちらの線も私は嫌いじゃないぞ!」
――自分の明日が怖い。
四人のやり取りに身の危険を覚え、大きな溜め息を吐き出すユウだった。
end.
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