今日からワタシは



その人物を視界に捉えた途端、大きく身を引いてしまった。逃げると思ったのか、そいつは早足で歩み寄ると腕を掴んで。

「……リオン」
「ユウ。話があるのだが」

いつになく真面目な顔で。

いや、今日中に真実を伝えなくては一番浮かれているこいつに申し訳ない。

「いいだろう。私も話がある」

そう返すと、リオンの犬耳がぴくりと反応を示した。ユウはふいと目を逸らして。

「結婚はよく考えて決めるんだぞ!」

……外野が五月蝿い。


リオンが招いたのは階段の影だった。

自室の前ではリムが頑張っているから危険らしい。ユウはじっとリオンを見つめて。

「発言を許す。貴様から話せ」

そう偉そうに口を開いてはみたが、もしも変なことを言ってきたらどうしよう。

ぼこぼこにして自己解決だけは避けたい。
 
 
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