今日からワタシは
「……うっ」
それは朝のことである。
早朝の任務から戻ってきたユウは何故か口を片手で覆い、ふらふらと廊下を歩いていた。食堂に辿り着く手前で遂にしゃがみ込んでしまい、吐き気をぐっと堪えて。
「あっ、ユウ!」
駆け寄ってきたのはリムだった。
心配そうに声をかけると、ユウは小さく首を横に振ってからふらりと立ち上がる。
「何処か気分が悪いの?」
「ああ、……いや、すぐに良くなる」
「そうは見えないわよ」
心配するリムを余所に、ユウはそのまま食堂へ。とはいえ、歩く体力もあまり残っておらず、近くの椅子に腰を下ろして。
「朝ご飯、取ってこようか?」
「いい……今は休ませてくれ……」
「もう、食べなきゃ悪化するだけよ」
ユウは力なくテーブルに伏せてしまい。
「……じゃあ、甘酸っぱい何か」
「えっ?」
「グレープフルーツとか……そういうの」
気分をすっきりさせたいだけだった。
だからまさかその発言が、この後とんでもない勘違いを招くとは思わなかったのだ。
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