悪なるアイツを倒すには
「心当たりが」
「うわあぁああ!?」
背後から、ぽつりと。
大袈裟に声を上げたのはロイだけだったが、剣を構えたのは四人同時だった。
「な、な、何だよ! どっから湧いてきた!?」
いくらあちら側に攻撃的意識が無いとはいえ、こうも警戒するのは当たり前。彼らの目線より幾らか下、褐色の肌に白髪、瞳に赤が灯る。
その正体はダークシャドウ、ダークトゥーンだった。
「たまたま。興味深い話が聞こえてきたのでこうして現れてみた」
「普通に現れろ!」
「なら、仕切り直そうか」
「来なくていいよ!」
ロイの的を射たツッコミが飛び交う。
「ま、亜空間なんてこの世界と隣り合わせですからね」
リンクはそう言うが、これが日常茶飯事でもちょっと困る。
「それで? 貴方さっき、何か言いかけたようですが」
構えは解かない。けれどダークトゥーンはそれに動じず淡々とした喋りで、
「心当たりがある」
「それは……先程我々が話していた件についてでしょうか」
「無論だ」
変わらず無表情。
「一応訊ねますが、“彼”ではありませんね?」
「あれはこの件に適さない。そこの赤髪が被害に遭うだけ」
半信半疑。だが次の瞬間リンクは剣を仕舞った。続けてアイク、そしてマルスも。
「えっ……ええっ?」
「彼を信用しましょう」
「はいい!?」
剣を仕舞いきれず、ロイはしどろもどろ。
「んなこと言ったって」
「……ロイ」
リンクは耳打ち。
「使える駒は使いましょう」
……俺。
こいつと敵じゃなくて本当によかった。