悪なるアイツを倒すには
「あっ」
ロイが小さく声を洩らしたのは昼食の唐揚げをカービィがひとつ摘まんで口に運んだからである。ぺろ、と親指を舐めてまた手を伸ばすカービィから遠ざけるように昼食を乗せたお盆をすすす、とずらして避難させる。
「……ふふ。ロイさぁ、僕に勝ちたい?」
「敵からアドバイス聞いてどーすんだよっ」
リンクもアイクも午前の稽古中、最終的には勝利をおさめた。
……俺だって。
「じゃあ、勝負しようか」
ロイは目を丸くして注目した。
「悪い話じゃないよ。ロイが勝ったら僕、何でも言うこと聞いてあげる」
「な、何でも」
「妄想が捗るっしょ」
「カービィ!」
納得がいかないのはマルスの方だった。
「君はまたそういう」
「何か問題でも?」
「逆もまた然りってことだろ!」
「あっばれた?」
――何でも。
「お題はもちろん剣と剣との勝負。相手の動きを制した方の勝ち」
動きを制した方の勝ちって。
さっきこいつ、スプレー使ってきたけどそれも――
「そっ。何でもありだよ」
カービィは人差し指を立てる。
「いくつ物を仕込もうが他の誰かに頼んで代わりに戦ってもらおうがそれはどうぞご自由に。……ただし」
まただ。目の色を冷たく変えて笑み。
「僕も本気でいくけどね」