悪なるアイツを倒すには
アイツだって見下して戦ってるわけじゃない。
こっちの本質を見抜いてる。何処を改善すればより良い剣使いになるか、口は悪いが適切なアドバイスで指導してくれる。……とはいえ。
褒められて伸びるタイプの俺にとってアイツの稽古は地味に刺さる……
「お前らよく嫌な顔ひとつしないで戦えるよな」
ロイはようやくその気怠そうな顔を上げた。
「大人ですから」
「年下の癖に」
さらりと爽やかに返すリンクをばつが悪そうに見つめる。
「ロイは挑発に乗せられやすいんだよ」
そう言うマルスはカービィと剣を交えて一度も負けなかった。
……二人とも目がマジだったけど。
「午後の稽古で見返せばいい。今日限りの相手でもないだろう」
「俺はお前ほど前向きには人間が出来てないんだよっ」
「じゃあその辺も僕が指導してあげよっか」
ビクッと肩を跳ねて振り返る。
そこには案の定、カービィがいた。昼時だし、当然っちゃあ当然だが。