悪なるアイツを倒すには



実際、強い。

ギャグではなく本気で。星の戦士だったらしいアイツは、剣を学ぶよりも先に戦線に立って振り回していたとか。メタナイトと出会って正しく教え込まれたのはそれからもう少し後の話。でもだからそれまでぐだぐだだったというわけでもなく、元々ある才能を生かしきれてなかったというだけに過ぎなかったようで。

メタナイトとも条件付きで剣を交えることがあるが、勝率は半々。

戦法はメタナイトが正統派ならカービィは異端、即ちトリッキー型。理由付けするようで申し訳ないが普段正統派のメタナイトに教え込まれている自分たちにとって彼のような読めないタイプは極めて害悪。

それでも決して勝てないというわけではないのだが、負けると。

「ロイってさぁ、本当に剣士? 僕、本業じゃないんだよ?」

非常に。

「それとも僕を嘗めてかかってる?」

無情に。

「んなわけないよねぇ」

誰よりも群を抜いて。

「今のはウォーミングアップってことにしといてあげる。次は本気出してね」

徹底的に。

「……剣士さん?」


たちが悪い。 


「……ロイ」

そんなこんなで、稽古は終えた剣士達は食堂に集まっていた。

「食べないのかい?」
「……貰ってしまうぞ」
「駄目です。後で空腹を訴えても何も出しませんから、今食べてください」

ずぅん、と負のオーラを背負ってテーブルにうつ伏せるのはロイ。

結局カービィに勝てなかったのである。
 
 
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