悪なるアイツを倒すには
勝負が始まる、誰もが予測したその瞬間からひと呼吸置いてカービィは地面を蹴り出した。電光石火の直線に乗った突進。腰に剣を据えて、獲物の元へ。
一方でダークカービィは少しの構えも取らない。距離がスローで縮まっていく最中ぎりぎりまで飛ぶ蝶に身惚れて、気付いた。
……間に合わない。
この勝負。僕の勝ちだよ――ロイ!
音が止まった。
さあっと風が吹いて剣士達の髪を撫でる。四人が注目を置いた先で、剣を交えるべく構えた二人の動きが止まっていた。
カービィは腰に据えたまま。ダークカービィは差し向けて。
「……え」
止まってる。なんで?
「もしかして『あれ』ですかね」
「『あれ』というのは」
「動きが速すぎて止まっているように見えるという」
「ストロボ効果のことか?」
おいおい。
「そんなナントカボールじゃあるまいし」
「……い」
ロイは疑問符。
「何か言ったか?」
「いいえ?」
「僕たちは何も――」
「いやぁああぁあああ!?」