ハツジョウ禁止!



「……は?」

食堂。レッドとは向かい側の椅子に腰かけて、ウルフは目を丸くしていた。

「発情期、だと?」

レッドはこくりと頷く。

「俺たちも驚きましたよ。ポケモンという種族で尚且つ、人間の姿をしている彼らにも発情期というものがあったとは」

リンクはウルフの目の前にコーヒーを注いだカップを置きつつ、そう語って。

「ちっ。……驚かせやがって」
「余裕だね」
「要するに近付かなきゃいいんだろ」

ウルフはふんと鼻を鳴らす。

「……それがそうもいかないんだ」

レッドも困っているようだった。

「彼らは繁殖する為に強力なフェロモンを放つようになる。今の内に抑制剤を呑ませておかないと、それはどんどん悪化して」

沈黙。――何となく分かった。

どうやら、放っておけば自分もフェロモンに巻かれて発情してしまうらしい。

その対象が自分だけではないというのが問題なのだ。だから今の内に対処しなければならない……これは思っていたよりも。

「厄介だろ?」

フォックスは苦笑を浮かべて。
 
 
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