ハツジョウ禁止!
「……なあ。ルーティ、いないぞ」
「えっ」
誰もがフォックスに注目した。
慌ててウルフが駆け寄り、思いきって扉を大きく開いてみたが……確かにいない。
「朝、ちゃんと閉めたはずだ」
「ふぅん。鍵は?」
「俺様の部屋でもあるんだ、掛けるかよ」
それが原因とは一概に言えない。
何故なら、あのリオンの部屋だって鍵は掛けていなかったのだ。これは、彼らの自制心のようなものが働いているからだとか。
「となると、誰かが連れ出したか……」
「待ってください。彼らが発情期だということは全員が承知のはず。なのに何故」
フェロモン。豹変。
朝、ルーティを目の前にしたウルフには心当たりがあった。――もしかして。
「おまっ、落ち着けええっ!」
この声は。