ハツジョウ禁止!



暫く見惚れていたが為に、かくんと小首を傾げるあざとさ。如何なる状況であっても無自覚というのが一番厄介である。

「……リンク?」
「あ、あはは。とにかく薬を」

自分が釣られそうになってどうする。

リンクは苦笑を浮かべながら、小瓶を軽く振ってカプセル剤を手のひらの上に一粒、落とした。それを指で摘まんで、

「さあ、早くこれを」

ユウは頷くと、小さく口を開いた。

「ぁ……」


待ってこれおかしい。


もはや誰だ! またしてもリンクが固まっていると、ユウは一旦口を閉じて。

ずい、と詰め寄った。

「何を迷っている……」
「キャラじゃないので、つい」
「早く、呑ませろ」

ユウはリンクの服をきゅっと掴み、更に接近して見つめる。……ああ。


でっかい釣り針だな、これは。


「――いいでしょう」

次の瞬間、ユウをベッドに押し倒していたのはリンクだった。完全に釣られている。

「飲ませてあげますよ」

何を言ってるんだか。

自分が衝動に駈られてどうする――!
 
 
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