仔カラスの世界
……え?
「てかなんでちっこくなってんの? 名探偵?」
そうじゃなくて。今、なんて――
「……おーい」
ダークフォックスは怪訝そうに呼びかけた。
暫くして。
「心配なんて、するんですね」
貴方が、と。
「んなの当たり前じゃねぇ?」
するとダークフォックスは後ろ髪をがしがしと掻いて、
「パートナーじゃん。違ったっけ」
そんな制度、うちには無いんですけどね。
……リンクやトゥーンは気付かなかったのに。
貴方は、気付いてくれた。
探してくれた。
「どうせならもう少し良質なパートナーが欲しかったですね」
「ハァ? 助けてやったのに腹立つぅ」
沢山の答えが滲み出る。
そうか。
「……ふふ」
だから死にたくなかったのか。
「んだよさっきからニヤニヤしてさぁ」
気付けばダークフォックスは不審そうな目で見つめている。
「……いいえ」
ダークファルコは柔らかな笑みを浮かべて言った。
「帰りましょうか」
姿形が変わっても求める世界は変わらない。
――幸せになるのなら、貴方と。
end.
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