大きくなったら
「フォックス、そいつ!」
遅れて洗面所から飛び出したカービィがルーティを指差せば、暫し突っ立っていたフォックスもはっと駆け出して。
「ひっ」
伸びた手をひらりと躱し、そのまま逃げるように駆け出す。ちょうどいつもの癖で無線も付けていたので、この後聞こえてきたフォックスの声にぞっとした。
「起床命令! 屋敷内を逃げ回る金髪の男を捕獲してくれ!」
こうなっては此方も逃げる他ないだろう。
何故って、それが追う者に対する礼儀だと思うからだ。少なくとも、自分は。
「堪忍してぇや朝から……」
「早起きは三文の得と言いますが」
その時、向こう側からのろのろと歩いてきたのはドンキーとリンクである。
「んなの迷信に決まって」
そしてさっと横切るルーティ。
「……今の」
ドンキーとリンクは顔を見合わせて。
「ラディス!?」