大きくなったら
――次の日の朝。
「ん……」
薬の効力か、昨日はあまり時間も経たない内に眠ってしまった。ルーティはのっそりと体を起こすと、欠伸を洩らして。
隣のベッドにウルフの姿はなく、昨日の夕方からの任務が長引いているようだった。
そういえば、昨日の薬はちゃんと効いたのだろうか。試しに自分の顔や体にぺたぺたと触れてみるが、よく分からない。
それでも、立ち上がってみると心なしか背が高くなったような気がする。昨日の薬の効き目が確かなら、低身長を気にしているスピカも喜ぶことだろう。
自分も気にしてないわけじゃなかったので自然と心が浮き立つ。とりあえず服を着替えて、歯磨き。顔も洗わないと。……
「うーん」
ルーティは困ったような顔をして廊下を歩いていた。突然、背が伸びるものだから今までの私服が入らなかったのである。
脱ぐのも一苦労だった。勝手にウルフの服を借りてしまったが、大丈夫だろうか。