大きくなったら



「うちの部下が信用ならねえってか」
「こ、怖いよスピカ」

頬に青筋を浮かべてずいと詰め寄るスピカに合わせ、ルーティは苦笑気味に引いて。

「水なし一錠だ、まずは飲め」
「遠慮します」
「つべこべ言わずに……」

スピカは小瓶から一錠、取り出すと。

「さっさと、飲め!」

一瞬の隙を突いてルーティの口の中に押し込む。初めはなかなか飲み込もうとしなかったが、スピカが暫く口を塞いでいると。

「ん、」

遂にルーティは錠剤を飲み込んで。

「飲んだな」
「っも、スピカー……」
「んな顔すんなって」

顔を顰めるルーティにスピカはふふんと笑って、人差し指で額を小突く。

「薬が効くのは遅いらしいな」
「どれくらい?」
「明日の昼頃、見に行ってやるよ」

スピカはそう言って片手を挙げると、外で待たせているダークウルフの為にさっさと部屋を出ていってしまった。

「つくづくお人好しだなぁ……」

ルーティは溜め息。
 
 
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