大きくなったら
もちろん、その一部始終を見てしまったメンバーには何が何だか分からない。
「な、……えっ、ラディスは?」
「だから、あれは父さんじゃなくて」
ルーティはむっとしながら、
「僕だったんだよ」
よく見れば、ルーティの服はぶかぶかである。ウルフの服なのだから当たり前だろうが……滑稽というか、可愛いというか。
「俺がその、そういう薬を作らせたんだよ。で、試しにこいつに飲ませた」
スピカは続けて。
「作ったルイージ曰く、他人の唾液にだけは耐性がないから、とにかく誰かの唾液を飲めば元の姿に戻れるらしくて、それで」
誰でもいいから急いでキスをさせたと。
「もー、早とちりした……」
「言い出したのカービィだろ」
小さく溜め息を吐き出すカービィを肘で小突くロイ。その時、ファルコは未だ地面に座り込むフォックスを見つめて。
「何、赤くなってんだ?」
「えっ」
フォックスはばっと顔を背ける。
「もしかしてぇ、相手がラディスだからって意識しちゃったんじゃないのー?」
「ばっ馬鹿を言うな!」
本当に大きくなったら。
「色んな意味で大変そうだな」
「あはは……」
ルーティは苦笑いの後、溜め息。
「そういえば、ピチカはいいの?」
「き、今日くらい勘弁しといてやる」
……何を言われたんだろう。
end.
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