黒染めシークレット



……ん?

「それって、お前たち……だけじゃないんだよな」

あくまで知らないことを悟られないように。

「ライバルは多いですからねー!」

えへんと胸を張ってダークゲムヲ。

「じ、じゃあ、例えばウルフとか」

ダークゲムヲが続けて答えようとしたところで口を塞がれた。犯人はダークファルコである。……悟られたか。目が合うとにこりと笑って、

「ご自分の目で確認されてみては如何でしょう」

相変わらず性格がよろしくない。

「……言われなくたって」

ふんと鼻を鳴らして背中を向ける。ずかずかと歩いていく最中。

「やっぱり知らなかったんですねえ」

楽しそうな声が嫌みったらしく聞こえた。


「受け取ってくれ」
「死んでもいらん」

差し出されたものをこうやって断るのも今日だけだと願いたい。

「……そうか」

こんな具合に暗い顔をされると胸に刺さる。

「やはりリーダーは鼻が利くらしい」
「ピカチュウって鼠だからなぁ」
「おい」

撤回。

「……じゃなくて、だ。お前らウルフは見なかったか?」
 
 
9/15ページ
スキ